歩く会にはユニークな計画がたくさんあるのですが、その中でも特に特徴的なのが毎年8,9月に行われるチャリシリ。今回は2023年の新歓の記事の一つとして、昨年行われたチャリシリ計画について振り返っていこうと思います(筆者も参加しました)。
チャリシリ、という言葉は自転車のチャリと利尻島のリシリを掛け合わせた歩く会の造語。その名前の通り自転車で札幌から宗谷岬まで行き、そこから利尻島へ渡り利尻富士に登るという文面からもわかるかなり大変な計画です。さらにその道中はテント泊であり、そのテントや寝袋、更には個人で必要な荷物をすべて自転車の荷台に括り付けるというかなりの重量編成。それに加えて、利尻島に渡ってから登る利尻富士は千数百メートルの落差を持つ山。
こんな計画誰が行くんだと思いますが、それでもけっこう参加希望者がいるのが歩く会というサークル(みんながみんなそうじゃないよ!とは声を上げて言いたいのですが)。その中から見事に日程が合い、チャリシリプレ(チャリシリに行けるかどうかを体力面からテストするもの)を乗り越えることのできた13人のメンバーが今回のチャリシリに参加しました。
一日目は札幌から北竜までの105kmの区間。この日は天気はすごい暑いというわけでもなく、でも晴れていて絶好の自転車日和の日だったと記憶しています。しかし、そこで立ちはだかるのがじわじわと体力を削っていく坂。急な坂道、というのはそこまでないのですが、ほとんどの区間でわずかに傾斜がかかっていました。道程の中盤あたりからじわじわと想定のタイムから遅れ始め、結局北竜に着く頃にはかなりの遅れに。コロナ渦で空いた空白期間のためチャリシリの経験者がメンバーにおらず、チャリシリ初日でまだまだ道のりが長かった参加者に焦りを与えるには十分すぎる遅れでした。チャリシリは2日目の中盤を過ぎると公共交通機関がなくなるため、リタイアすることがかなり難しくなります(その想定も一応されてはいるのですが)。そのため、その日はとても活発な議論がメンバー間で交わされていました。
二日目は北竜から初山別までの114kmの区間。山間を走っていた初日とは違い、ついに海沿いを走るルートに出ました。一日目でしっかり稼いだ位置エネルギーを爽快に浪費したあとに待っているのは、青春の一場面のような海沿いのサイクリング。まあそんな場面に感動しつつもすぐに飽きるのですが。海沿いの道は走りやすく、ペース良く走ることができました。その後「苫前の番人」と呼ばれる坂があり、その後も激しいアップダウンが続くのですが、チャリシリプレも、ここまでの道のりも、乗り越えてきたメンバーたちには大して苦ではなかったのではないかと思います。その日泊まったみさき台公園キャンプ場はとても景色の良いキャンプ場でした。
三日目は初山別から稚内までの115kmの区間。とても平らな区間であり、景色も良かったため、最後まで楽しく走りきることができました!...と書きたいのですが、そうは問屋が卸さない。出発時点から少しづつ降り始めた雨が風と共にメンバーを襲います。もともとサロベツ原野のあたりは風が強く、風車も多く配置されているのですが、それにしても今日は調子がおかしい。北緯45度線モニュメントあたりではまだ許容できるほどの風だったのですが、抜海の手前あたりから風雨がかなり強烈に。強い向かい風を受けながら走る横では風車がベイブレード並みの高速回転をしているのが見えます。雲が空を覆っていて、辺りはゲームのクライマックスばりの雰囲気。ここから稚内までの区間はほぼすべて向かい風が吹いており、全身濡れていたため、寒さとの勝負でもありました。よくあの行程を乗り切ったな、と今でも思います。いつも以上に温泉が染みる。僕たちをあんなに苦しめた風雨ですが、夜にはすっかり止んでいました。稚内の丘のキャンプ場から眺めた夜景は本当にきれいでしたね。
四日目は稚内と宗谷岬を往復する62kmのコース。ここでついに、いままで自分たちを苦しめ続けていた大量の荷物をロッカーに預け、身軽な状態で「サイクリング」を楽しむことができるようになります。清々しい天気のなか、美しい丘が連なる「日本最北の牧場」や「日本最北のコンビニ」を過ぎると突如見えてくる宗谷岬。あそこがゴールだ!夏休み一の興奮が体を走り抜けた気がします。「俺が日本最北だ!」とか、小学生のような会話を交わしながら、笑顔で集合写真を撮りました。
チャリシリについて書き始めたら想像以上に長くなってしまいました。なので、今回はチャリシリのチャリパート、の紹介だけに済ませておきます。ところでチャリシリの行程なのですが、チャリで稚内までいくグループだけではなく、車で稚内まで行き、利尻富士だけ登るというグループもあります。なのでかなりの上級生のメンバーが利尻富士には登っていると思います。ぜひ先輩のみんなにどんな登山だったか聞いてみてほしいです!思い思いの思い出を教えてくれるでしょう。
こうして書くとチャリシリがかなり楽しそうな計画のように思えますが、計画に行ってから半年が経ち、かなり記憶が美化されている部分もあります。チャリシリの最中の感情としては「辛い」が7割方を占めるのではないでしょうか。それでもチャリシリに行ってみたい、というあなた。参加を心よりお待ちしております。この一週間弱の旅は「感動とは何か」を学ぶのには十分すぎるでしょう。
文責:波多野
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